「API Meetup Tokyo #3」に参加してきました

2014年9月26日(金)に開催されましたAPI Meetup Tokyo #3に参加してきました。

本勉強会はApigeeさんが主催するもので、Web API に携わる開発・企画担当者が、API まわりの様々な要素技術や適用事例を一緒に学ぶオープンな勉強会であり、今回はその3回目となります。

 

ヌーラボサービスにおけるAPI設計・運用のこれまでとこれから

最初は、株式会社ヌーラボ テクノロジー・エバンジェリスト 染田 貴志さん(@tksmd)の発表

API Meetup #1、#2の振り返りとAPIの概観から、ヌーラボにおける実際のAPI設計・運用のお話をして頂きました。

  • なぜ今APIなのか
    • これまでのAPIはデータの一部を取得できるなど補完的な役割だった
    • これからはAPIがサービスそのものとなっていく
  • APIエコシステム
    • Evernoteでは、API連携したアプリケーションがユーザの満足度を上げている
    • 色んなサービスがAPIで繋がり、新たな価値が提供される
  • ヌーラボの事例1 - APIの世代交代
    • Backlogでは2007年からAPIv1を提供していた
      • XML-RPC、HTTP Basic認証など今ではレガシーな方式だが、当時は十分使われていた
      • 機能はサービス全体の一部であった
    • 2014にv2を提供開始
      • REST/JSONAPI Key、OAuth2など現在のトレンドをキャッチアップ
        • 数年でv1の方式がレガシーなものになった
      • 機能はほとんどすべてのことをAPIで出来るようにした
    • 移行ポリシー
      • v1は廃止しないが新機能追加もせず、新規ユーザにはv2を推奨し、機能要望もv2のみ受け付ける
    • アーキテクチャ
      • v1はBacklogアプリケーションの中にAPIが入っていたが、v2では外に出した
      • 実装が2つ必要になり、複雑な処理はバグの元となるので、複雑な処理はv1を内部的に呼び出す
      • v1はJava、v2はScala
  • ヌーラボの事例2 - エディタ機能の外部提供のアプローチ
    • Cacooはもともとエディタ組み込みのニーズがあった
      • 広告素材の編集などをリモートでリアルタイムで行いたいが、自社で作るのは大変なのでCacooのサービスを利用したい
    • SDKを提供しニーズに答えた
      • オンプレミス版で提供し、専用のAPIを設けることで細かいニーズに答える
  • ヌーラボの事例3 - APIを核にしたサービス設計と実装
    • Typetalkはモバイルファーストで設計した
      • 認証の部分を分けて、Web用認証・OAuth2認証それぞれから同じAPIロジックを叩く
        • APIの外部提供はOAuth2認証経由
    • 実装コストが2倍にならないようなアーキテクチャを設計し、また、モバイルにやさしいものにする。
  • APIのこれから
    • 以前からYahoo! Pipesのようなマッシュアップツールがあった
    • しかし最近はIFTTTの登場など、開発者以外でも手軽にAPIを組み合わせて価値を創造することができる
    • APIそのものはサービスと同等の提供価値に

古すぎず新しすぎない技術をキャッチアップし続け、また既存のサービスがレガシーになり始めたら積極的に改善を行っている印象を受けました。

また、染田さんの発表も非常に分かりやすく丁寧で、APIそのものを取り巻く環境の変化を咀嚼することができました。

 

WebRTCにより可視化されるリアルタイムクラウド。求められるAPI

続いて、NTTコミュニケーションズ株式会社 小松 健作さん(@komasshu)の発表

カエルの格好で登場。 WebRTCの紹介と、そこから見えてくるAPIの潮流についてお話いただきました。

  • 本当のWeb革命は、僕たちが自分たちのためにものを製造し、それを他の人も利用できるようになったことであるクリス・アンダーソン
    • 前世紀までは、多数のSupplierが巨大なProviderに価値を提供し、巨大なSupplierが大量生産・大量消費でConsumerと繋がっていた
    • 今世紀からは、多数のSupplierが多数のProviderに価値を提供し、多数のProviderがそれぞれのセグメントのConsumerに価値を提供する
      • SupplierとProviderはAPIで繋がっている
    • SupplierとProvider間のAPIで最も強力なものがWeb
      • Webはそれ自身をAPIとみなすことができる
  • APIの変遷
  • 2004年からHTML5によってWebが大きく変わっている
    • 通信にフォーカスすると、HTTP/1.1からWebSocketの双方向通信、WebRTCによるP2P通信へと拡大している
    • Webを用いたビデオチャットは今までもあったが、それが民主化している
  • WebRTCを用いた事例
    • ロボットのテレプレゼンス応用
      • WebRTCでロボットを制御し、ロボットについてるカメラからリアルタイムで映像を取得できる
  • NTTコミュニケーションズさんのSkyWayを用いると、WebRTCによるビデオチャットシステムを簡単に構築できる
    • 現在オープンβで利用可能
  • 他にもNTTコミュニケーションズでは色んなAPIを提供しています

WebRTCで非常に有名な小松さんの発表を聞くことができ、非常に嬉しかったです。

自前でゼロからWebRTCによるテレプレゼンスを構築しようとすると非常に大変ではあるが、SkyWayのようなシステムを導入することで開発者は簡単にWebRTCを利用でき、それを用いた価値を提供できる。 そのような世界がついそこまで広がっている。

会議以外での応用も十分期待できると感じられました。